土木学会 土木情報学委員会 では,2012年度よりCIM講演会を開催してきました.(国土基盤モデル小委員会,ICT施工研究小委員会,建設3次元情報利用研究小委員会)
CIMは,皆様ご承知の通り,平成24年度から試行業務,平成25年度から試行工事に取り組み,多くの試行案件の知見を取り込んで発展してきました.そしてi-Constructionによって施工の3次元データが急速に普及したことによって,さらに新しい可能性が膨らんできたと言えると思います.
以前は,「これから建設業は変わる」ということを懸命に説明したものですが,国土交通省により,基準や制度が「実務」に合わせて「カイゼン」されていくというサイクルも定着しつつあり,世の中が変わることが前提でお話をする場面が増えたかと思います.
毎年更新,拡張されるi-Construction基準,CIM導入ガイドラインをはじめ,3次元データ利活用方針,3 次元モデル表記標準(案),発注方式(ECI)の試行,など,旧来の常識は目まぐるしく変化しています.
このようにCIMを取り巻く状況が変化していく中,CIM講演会2018(東京)第二回では,3次元データの共有をテーマに取り上げ,皆様にご紹介しました.
次は何が問題になっていくのか,次の合理化のカギは何なのかということを関係者で話し合って決めました.
今,3次元データの効果を実感している方が増えている一方,3次元データの取り扱いが大きな負担になるケースも多いかと思います.
その中でも,ソフトウェアどうしの互換性の問題によって,3次元データの修正作業が生じていたり,同じソフトウェアでもバージョンアップ後に以前のファイルが読めなくなったり,3次元形状だけを引き継いでも,属性データ等の関連情報が失われてしまったり,という状況が,3次元データの柔軟な活用を難しくしています.今作っている3次元データが将来的に読めなくなるのではないかという心配も生じています.
現在,国際標準として使用されているIFCプロダクトモデルは,形状・属性等を含めた,標準仕様として策定されています.これが2020年に種々の土木構造物に対応する形で公開される予定です.そして,それらの策定における国際的な調整を図っているのが一般社団法人 buildingSMART Japanです。
今後,より重要になるであろう3次元データの標準化を見据え,3次元データの共有化というテーマを発展させるにあたり,この度,新たにbuildingSMART Japanの協力を得ることができ,国際化やIFCプロダクトモデルの活用に,より踏み込んだ形でのBIM/CIM講演会を開催することになりました.
これまで,土木学会のCIM講演会に足を運んでいただいた方々には,今後ともご支援のほどお願いします.
公益社団法人 土木学会 土木情報学委員会
施工情報自動処理研究小委員会 委員長 石田 仁